透明マントはどこまで現実?『ハリー・ポッター』の夢は、決まった光と角度なら実験で隠せた
このページの公開: / 最終更新: / 書いた人:トゥモローノート編集部

この発表のまとめ
光を物のまわりに回り込ませれば、物は見えなくなります。2006年に電波(マイクロ波)で銅の円筒を隠す実験が行われ、2014年にはふつうのレンズ4枚で目に見える光の中の物を隠し、2015年には厚さ80ナノメートルの膜で立体を隠しました。ただし、どれも決まった光や角度だけで、どの色・どの向きからでも隠し、着て動けるマントは、今回確かめた論文にはありません。
- 主な研究
- デューク大学・インペリアル・カレッジ・ロンドン・ロチェスター大学・ローレンス・バークレー国立研究所の研究チーム(論文)
- いつ
- に論文と発表を確かめました
- 段階
- 研究室での実験
この SF、どこまで現実?
『ハリー・ポッターと賢者の石』の世界は、いまどこまで来ているか
作品の設定かぶると体がすっかり見えなくなるマントで、姿を隠したまま夜の学校を歩き回る。

光を回り込ませて物を隠す仕組み○ 理論と実験で確かめられた
2006年に理論が出て、同じ年にマイクロ波で銅の円筒を隠す実験が行われた。
目に見える光で隠す△ 研究室で、決まった光なら
レンズ4枚の装置は目に見える光で働き、薄い膜は波長730ナノメートルの光で立体を隠した。
どの向きから見ても隠す× まだ遠い
レンズの装置は15度ほどまでで、真ん中の軸の上は隠せない。2006年の覆いは平面の向きだけだった。
着て動ける大きさ・薄さ△ 薄い膜はできた
厚さ80ナノメートルの膜ができ、論文は大きな物にも広げられる可能性があるとしている。

答え光を物のまわりに回り込ませて隠す仕組みは、理論と実験で確かめられています。ただし、どれも決まった光や角度のときだけです。どの色・どの向きからでも隠し、着て歩けるマントは、今回確かめた論文の中にはありません。
いまの段階
いまの段階:研究室での実験(5段階のうち2つめ)
段階は、発表や論文に書かれた事実から選んでいます。「理論・アイデア」は、計算や構想の段階で、まだ実験で確かめられていないものです。
公式の発表に書かれていること
- 2006年、メタマテリアル(人工の構造で電磁波の進み方を変える材料)を使えば、電磁波を思いどおりに曲げ、ある空間をすっぽり覆い隠せるという理論の論文が出た。
- 2006年10月、アメリカとイギリスの大学のチームが、マイクロ波で銅の円筒を「隠す」実験を発表した。覆いは物からの散らばりを減らし、影も小さくして、覆いと物がまわりの何も無い空間に近く見えるようになった。
- 2006年の覆いは、回路の基板に使う板に銅の輪と線を並べた作りで、大きさは5インチ(約13cm)足らず。隠せたのは2次元(平面)の向きだけで、目に見える光で隠すには、まだ作られていない構造が要るとされた。
出典:デューク大学(2006)
残りの3件を見る(出典つき)
- 2014年、ふつうのレンズ4枚を組み合わせ、目に見える光の全部の色で、後ろの景色を通して見せたまま中の物を隠す装置が発表された。見る位置を数度ずらしても隠れたまま。
- 2014年のレンズの装置は、計算の上では15度ほどまでの角度で働く。ただ、真ん中の軸の上は隠せず、隠せる所はドーナツの形になる。
- 2014年の論文は、3次元で、光を通し、向きを変えても続けて隠せる、目に見える光の覆いはそれまで実験で示されていなかったと書き、新しい材料が要らず大きな物にも広げやすいとしている。
- 2015年、厚さ80ナノメートル(光の波長の約9分の1)の「皮のような覆い」で、形の決まっていない立体を隠す実験が発表された。隠せたのは、波長730ナノメートルの光で照らしたとき。
- 2015年の論文は、それまでの光の覆いは分厚くて大きくしにくく、反射した光のずれで見破られると書き、薄い覆いは大きな物を隠すために広げられる可能性があるとしている。
ほかに確かめた出典:インペリアル・カレッジ(2006)/バークレー国立研究所
発表に書かれていないこと(効き目・安全性・値段・確実な時期など)は書いていません。この内容は2026年10月25日に公式の発表を確かめたものです。誤りや続報に気づいたら訂正の申し出からお知らせください。
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アメリカ
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よくある質問に、この記事に書いてあることだけで答えます。
透明マントは本当にあるの?
着て動ける透明マントは、今回確かめた論文の中にはありません。決まった光や角度なら物を隠す実験はできていて、2006年にはマイクロ波で銅の円筒を隠し、2015年には波長730ナノメートルの光で立体を隠しました。
どういう仕組みで見えなくなるの?
物に当たる光を、物のまわりに回り込ませて後ろへ通すと、物は見えなくなります。2006年に、メタマテリアルで電磁波を思いどおりに曲げて空間を覆い隠せるという理論の論文が出ました。
目に見える光でも隠せた?
隠せた例はあります。2014年にはふつうのレンズ4枚で目に見える光の中の物を隠し、2015年には厚さ80ナノメートルの膜で、波長730ナノメートルの光で照らした立体を隠しました。
どの向きから見ても消えるの?
まだです。レンズ4枚の装置は計算の上では15度ほどまでの角度で働き、真ん中の軸の上は隠せません。2006年の覆いは平面の向きだけでした。
ハリー・ポッターのマントみたいになる?
仕組みは確かめられていますが、着て歩けるマントには届いていません。2015年の論文は、厚さ80ナノメートルの膜を大きな物に広げられる可能性があると書いています。



