琥珀の蚊から恐竜はよみがえる?『ジュラシック・パーク』はどこまで現実か|DNA の寿命と、絶滅動物を戻す研究
このページの公開: / 最終更新: / 書いた人:トゥモローノート編集部

この発表のまとめ
映画『ジュラシック・パーク』のように、琥珀に閉じ込められた蚊の血から恐竜の DNA を取り出すやり方は、論文の上では成り立ちません。骨の DNA は条件が良くても680万年で読めなくなるという研究があり、恐竜の絶滅は約6600万年前です。いま実際に進んでいるのは別の道で、近い種の遺伝子を書き換えて、絶滅した生き物に似せる研究です。
- 主な研究
- Colossal Biosciences・各大学の研究チーム(論文)
- いつ
- に論文と発表を確かめました
- 段階
- 研究室での実験
この SF、どこまで現実?
『ジュラシック・パーク』の世界は、いまどこまで来ているか
作品の設定琥珀に閉じ込められた蚊が、むかし吸った恐竜の血。その血から恐竜の DNA を取り出し、足りない部分をほかの生き物の DNA で埋めて、恐竜をよみがえらせる。

琥珀の中の虫から、古い DNA を取り出す✕ 再現できなかった
1993年に報告が出たが、別の研究班が同じことを試しても本物の古い DNA は見つからなかった。
6600万年前の恐竜の DNA を読む✕ 理論の上で無理
骨の DNA は −5°C でも680万年で読めなくなるという見積もり。これまで読めた最も古い DNA は約200万年前。
恐竜の骨から、タンパク質の手がかりを取る△ 研究室・結論は割れている
6800万年前のティラノサウルスの骨から配列を読んだ報告と、それは細菌や今の微生物だという反論がある。
近い種の遺伝子を書き換えて、絶滅した生き物に似せる○ 試作が始まっている
ハイイロオオカミの14の遺伝子に20か所の編集を入れた子が生まれ、「ダイアウルフ」として発表された(大学は「遺伝子を改変したハイイロオオカミ」と説明)。
鳥を、恐竜に近い形に戻す△ 研究室(胚の段階)
ニワトリの胚で、くちばしやすねの骨を祖先に近い形にした実験がある。ひなを育てたものではない。

答え映画のやり方(古い血から恐竜の DNA を読む)は、いまの科学では成り立ちません。けれど「近い生き物を書き換えて似せる」という別の道では、オオカミで試作が始まり、マンモスはその性質を入れたネズミの研究(査読前)の段階です。恐竜にいちばん近い生き物は鳥で、その研究はまだ卵の中の段階です。
いまの段階
いまの段階:研究室での実験(5段階のうち2つめ)
段階は、発表や論文に書かれた事実から選んでいます。「理論・アイデア」は、計算や構想の段階で、まだ実験で確かめられていないものです。
公式の発表に書かれていること
- 絶滅した鳥モアの骨158本を測った研究では、骨の DNA の半減期(半分が壊れるまでの時間)は、242塩基の長さで521年だった。
- 同じ研究のモデルでは、条件がいちばん良い −5°C でも、680万年たつと DNA のつながりは1か所も残らないと見積もっている。論文は、8000万年以上前の白亜紀の骨から DNA を取り出すことは「極めてありそうにない」と書いている。
- 恐竜を滅ぼした衝突は、6603万8000年前と測られている。
- 1993年の Nature に、1億2000万〜1億3500万年前の琥珀の中のゾウムシから DNA を取り出して読んだという報告が載った。
出典:Nature(1993)
残りの9件を見る(出典つき)
- 1997年、別の研究班が琥珀やコパル(琥珀になる前の樹脂)の中のハチやハエで同じことを試したが、本物の古い昆虫の DNA は見つからず、「DNA は琥珀の中でも数百万年は残らない」と考えた。
- 2013年には、新しい読み取り機で、約1万年前以内のコパルの中のハチを調べたが、古い DNA が残っている確かな証拠は得られなかった。
- これまでに化石から読めた最も古い DNA は、東シベリアのマンモスの歯で、いちばん古いものは約165万年前と推定された。
出典:Nature(2021)
- 年代がいちばん古い DNA は、グリーンランド北部の約200万年前の地層の土に残っていたもので、マストドン・トナカイ・ガンなどの DNA が読めた。
出典:Nature(2022)
- 2007年、6800万年前のティラノサウルスの骨からタンパク質(コラーゲン)の配列を読んだという報告が出た。一方で、こうした「軟らかい組織」は細菌の膜だという論文(2008年)や、恐竜の骨の中に今の微生物が住みついているという論文(2019年)もあり、結論は割れている。
- Colossal Biosciences は、3頭の子を「ダイアウルフ」として発表した。同社は「14の遺伝子に20か所の狙った編集を入れた」と説明している。
- 提携先のカリフォルニア大学サンタクルーズ校のニュースは、この子たちを「遺伝子を改変したハイイロオオカミ」と書き、「先祖の正確な複製ではない」とも書いている。
- Colossal の研究者は、最大7つの遺伝子を同時に編集したマウスを作り、縮れた毛や金茶色の毛など、マンモスの毛に似た性質が出たと発表した(査読前の論文)。マンモスは、アジアゾウの細胞を編集し、ゾウに子を産ませる計画で、同社のページに年は書かれていない。
- ニワトリの胚(卵の中のひな)で顔をつくる信号を薬で抑えると、くちばしの骨が、くちばしのない祖先の化石に近い形になった(2015年)。すねの細い骨が恐竜に近い長さになった実験もある(2016年)。どちらも胚の段階で骨の形を調べた研究で、ひなを育てたものではない。
ほかに確かめた出典:PLOS ONE(2008)/eLife(2019)/Colossal Biosciences(マンモス)/Evolution(2016)
発表に書かれていないこと(効き目・安全性・値段・確実な時期など)は書いていません。この内容は2026年10月16日に公式の発表を確かめたものです。誤りや続報に気づいたら訂正の申し出からお知らせください。
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アメリカ
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よくある質問に、この記事に書いてあることだけで答えます。
恐竜はよみがえるの?
映画のように琥珀の蚊の血から恐竜の DNA を取り出すやり方は、論文の上では成り立ちません。骨の DNA は条件が良くても680万年で読めなくなるという研究があり、恐竜の絶滅は約6600万年前です。
琥珀から DNA は取れたの?
1993年の Nature に琥珀の中のゾウムシから DNA を読んだという報告が載りましたが、1997年に別の研究班が試すと本物の古い昆虫の DNA は見つかりませんでした。
いちばん古い DNA はどれくらい前?
年代がいちばん古い DNA は、グリーンランド北部の約200万年前の地層の土に残っていたものです。化石から読めた最も古いものは、マンモスの歯の約165万年前と推定されています。
ダイアウルフはよみがえったの?
Colossal Biosciences は3頭の子を「ダイアウルフ」として発表し、「14の遺伝子に20か所の狙った編集を入れた」と説明しています。提携先の大学のニュースは「遺伝子を改変したハイイロオオカミ」「先祖の正確な複製ではない」と書いています。
マンモスはいつよみがえるの?
時期は書かれていません。マンモスの毛に似た性質が出たマウスの研究(査読前)が発表された段階で、マンモスはアジアゾウの細胞を編集する計画ですが、同社のページに年は書かれていません。
鳥を恐竜に戻せるの?
ニワトリの胚で、くちばしやすねの骨を祖先や恐竜に近い形にした実験(2015年・2016年)がありますが、どちらも胚の段階の研究で、ひなを育てたものではありません。



